治験の最前線で働く現役CRC(治験コーディネーター)に、
普段なかなか聞けない現場のあんなことやこんなことについて教えてもらいました。
リアルな声を通じて、ぜひCRCへの理解を深めてください。
プロトコールやGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)、院内の独自ルールなど、覚えることが多岐に渡ります。試験が変わればプロトコールも変わるし、担当する医療機関が変われば院内ルールも変わるので慣れるまでは大変ですね。
疾患や専門用語について知識が求められることです。研修やeラーニングは用意されていますが、自らインターネットで調べる必要があることも。医師や院内スタッフの方々と仲良くなれば、教えていただけることもありますよ。
治験を実施するにあたって念入りに事前準備を行いますが、どんなに時間をかけてもイレギュラーなことは起きてしまいます。患者さんの容態が変わってしまったり、SAE(重篤な有害事象)が発生してしまったりすることもあるため、迅速な対応が求められます。
私の担当する医療機関では複数のCRCが在籍していますが、休暇を取っているメンバーが多い日にイレギュラーなことが起きてしまうと、一気にてんやわんやになりますね。その場で早急な判断を求められることも多いのでとても焦ります。
最先端の治療法に触れられることです!自らが携わった治験薬が承認されたら、現在の治療法ではなかなか効果が出ない患者さんの新たな希望になれると思うと、未来にワクワクします。
治験の効果が出て、患者さんから「ありがとう」と言われたり、医師から「この治験薬は効果がありそうだね」と言われたりしたときは、CRCという仕事が好きだと心から思います!
私は小児総合病院を担当しているのですが、患者であるお子さんが治験の効果を実感して、前向きに治験に参加しようとしている姿を見たときは感動します。
私が初めて担当した患者さんは、これまでどのような治療を行っても効果がありませんでした。あとは治験に全てをかけるしかないという状況のときに、治験薬の効果が現れて、患者さんの笑顔を見られたことが本当に嬉しかったです。
看護師からCRCに転職して一番驚いたことは、検査科や放射線科、医事課など院内のほとんどの部署と関わりがあること。前職の看護師は、特定の部署や職種の方としかやりとりがなかったのですが、今は多くの人たちと関わり合いがあるので日々学ぶことがいっぱいです。
CRCは、主に患者さんの対応を行うイメージが強かったのですが、想像した以上に医師や院内スタッフの方々と関わる機会が多かったことです。医師は多忙な方ばかりですが、話す機会が増えてくると少しずつプライベートな話もできるようになることが楽しいです!
前職のMRでは、承認された医薬品のデータを医師にプレゼンする立場でしたが、それらデータの一つ一つがこんなにも苦労して収集されたものだったとは思いもしませんでした……。当時を振り返って、CRCという仕事にもっと感謝しなくちゃいけなかったなと思いますね。
CRCという仕事は、主に「患者さんと関わる仕事」だと思っていましたが、実はデスクワークの方が多かったこと。CRCとして入社する前から業務内容について調べていたのでデスクワークが多いことも知っていたのですが、想像を超えていましたね…。
CRCはもちろん、医師や院内スタッフ、製薬企業の方々が一丸となって治験を進められているときに喜びを感じますね。医師や製薬企業の方から「治験の効果が出ています」と伝えられると、CRCという職業が本当にいい仕事だなと思います。
試験前に医師や看護師、臨床検査技師などの方々と、院内調整を綿密に行うこともCRCの重要な仕事の一つですが、準備が功を奏して、スムーズに試験が進んだときは嬉しいです。患者さんに治験薬を初めて投与するときは、どれだけ準備をしていても未だに緊張でドキドキします……。
患者さんが未成年の方の場合、コミュニケーションに対する反応が薄く、こちらの言っていることがきちんと伝わっているか不安に感じることもあります。しかし、そんな患者さんから「治験に協力したい」という前向きな思いを聞けたときは特に嬉しいですね。
治験薬の効果を目の前で感じることができ、担当した患者さんから「治験に参加して良かった」と笑顔で言っていただいたときです。あとは自分が関わった治験薬が承認されて、実際に発売されたときに得られる喜びは、CRCならではですね!